先日、都内にお住まいの男性から墓じまいのご相談をがありました。男性にお話しを伺うと、母親が亡くなったのを機に墓じまいを決心したそうです。寺院へ墓じまいする旨を伝えたところ、突然、「分かりました。では離檀する為には60万円必要です」と金銭を要求されたそうです。
お寺との関係もあまり良好ではなかったので、何か言われるとは予想はしていたようですが、まさか60万円も要求されると思わなったようです。
一応、60万円の内訳を聞きましたが、住職からは明確な回答は無く檀家をやめて寺からでていくのであれば、とにかく60万円支払ってくださいの一点張りです。
遺骨の取出しは寺院の許可は不要
男性に墓じまい後のご遺骨の供養方法を伺うと散骨するとのこと。散骨であれば改葬には該当しませんので、ご遺骨の所有権は祭祀(さいし)継承者である男性にあります。勝手に遺骨を取り出しても法律に抵触しない旨を説明させていただきました。
※改葬はお寺の埋葬証明(署名・押印)が必要な為、お寺の承諾がないとできません。
住職は一切歩み寄りをみせない
男性も社会通念上、常識の範囲内であれば勿論お布施を支払うつもりでした。しかし、何度離檀料の減額交渉をしても、住職は一切耳を貸そうとはしません。男性も業を煮やし、「遺骨は勝手に取り出すので、墓石は寺が自由に処分してくれ。もちろん、墓石撤去費用は一切支払わない」と言ったそうです。
寺院に一銭も支払わず墓じまい
本当に墓石を残したまま、ご遺骨だけを取り出されては、お寺側もたまったものではありません。さすがの住職も「もう、結構です一銭もいただきませんから、どうぞ勝手に出て行ってください」と最終的には墓じまいに応じました。
水も一切使えない墓じまいは初めて
住職が墓じまいに応じた旨の報告がありましたので、後日住職に工事日程の相談の電話を入れると、「あの方は勝手に檀家をやめて寺を出ていくので、工事するのは自由ですが寺の物(水、駐車場)は一切使用させまん」とピシャリです!
まあ、檀家と菩提寺の関係がここまで悪くなったら仕方ないですね。仕方ないので道路使用許可をとり誘導員を2人つけて作業することになりました。若干、余分な費用はかかりましたが60万円の離檀料からすれば微々たるものです。
離檀料を請求しない寺院は沢山あります
寺院の墓じまいは、住職から離檀料を必ず請求されると思っているかもしれませんが、決してそのような事はありません。「お気持ちで結構です」と仰る住職がほとんどです。
檀家制度は今の時代に沿わない
檀家制度は江戸時代にできたと言われておりますが、もう現代の社会構造に沿うことができていないと思います。少子化や過疎化が進行し、「寺離れ」や「宗教離れ」に伴い檀家もどんどん減っています。
2016年は全国改葬件数約91,000件、2017年は約97,000件、2018年は104,000件と、とうとう10万件を超えました。檀家制度が衰退するのは避けられませんから、今後、廃寺もどんどん増える事でしょう。
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墓じまい事例(一部)
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