葬送の多様化

散骨は海外では一般的な葬送ひとつです。近年では日本でも散骨を希望する人が増えております。経済的な理由からお墓を購入できない方や、お墓に入ること自体を嫌う人等、様々な理由で散骨が注目されています。

以前、友人の間で死んだ後の葬送についての話になりました。意外なことに、お墓に入りたいと希望したのは、8人中2人しかいませんでした。40代の私の世代でもお墓についての考えが昔とは違うのですから、もっと若い世代の人は尚更でしょう。

死体等遺棄罪(刑法190条)に注意

散骨をするにあたり注意するのは、死体等遺棄罪(刑法190条)と墓埋法です。散骨する際、遺骨をそのまま撒いてしますと、死体等遺棄罪になる可能性があり3年以下の懲役刑となります。

散骨は合法でも違法でもまい

墓埋法では散骨についての定めはありませんので、現時点では、散骨は合法でも違法でもなくルールとして確立していないので、グレーゾーンと言えるでしょう。

法務省の見解としては、「節度を持って散骨が行われる限り違法ではない」としています。

節度を持って散骨するとは?

この「節度を持って」というのは、パッと見て遺骨とわからない状態にしてから、人目のつかない所で散骨しなさいと言うことです。散骨業者は遺骨を2ミリ以下のパウダー状にして散骨するのが一般的です。海への散骨はできるだけ岸から離れた場所で行います。

墓埋法では遺骨を埋蔵する(土をかけて埋める)には、墳墓(墓地)として、都道府県知事の許可を得ている場所にしかできません。なので、墳墓(墓地)の敷地以外では、遺骨を土中に埋めることはできません。

海は土中でないからどこでも散骨していいのでは?

法律に違反していないからと言って、漁場・養殖場などで散骨すると、漁民から風評被害を理由とした、損害賠償請求をされる恐れがありますので避けるべきです。また、海岸、浜辺、防波堤など一般の船客から視認されないよう、できるだけ岸から離れて散骨したほうが無難です。(陸地から1海里以上離れた海洋を推奨)

散骨を規制している自治体もある

一部の自治体、市区町村では散骨に対する条例を設け、散骨そのものを禁止しているところがあります。条例に違反すると罰金刑に科せられる場合がありますので、業者に委託する場合でも事前に調査しておくと良いでしょう。

散骨を禁止している自治体

北海道長沼町(対象:個人、事業者)

長沼町さわやか環境づくり条例(平成17年3月16日条例第10号)改正(平成24年3月27日条例第15号)

事の発端は札幌市にあるNPO法人、「22世紀北輝行研究会」が住民の理解を得ないまま、樹木葬公園と称する「散骨場」の分譲を開始したことです。

遺骨を撒く施設が近くにできれば、当然、周辺の住民からは反対の声があがります。町議会も反対決議するなどし、トラブルに発展しました。分譲内容は、NPO法人が所有する山林約2万3,000平方メートルに公園を造り、
4平方メートルずつ区画して永代使用料として52万5,000円と、年1万2,600円の管理費をとるというものでした。

周辺住民からは地下水の飲用ができなくなるなど、農産物への風評被害が心配だと反対の声が多数上がり、議題に提出され条例ができました。

この条例の第11条に「何人も、墓地以外の場所で焼骨を散布してはならない。」、第17条に「焼骨を散布する場所を提供することを業とした者は、6ケ月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」ことになっています。

北海道七飯町(対象:事業者)

罰則規定はいまのところありませんが、散骨業には事業計画書の提出が求められ、町の許可が必要となります。さらに地域関係者以外の不特定多数の町民が拒否した場合、町長はその意思を重視するよう、指導するとありますので、事実上散骨はできないと考えていいでしょう。

北海道岩見沢市(対象:個人、事業者)

岩見沢市における、散骨の適正化に関する条例施行規則では、事業計画書、散骨場予定地の位置図、地番図及び土地利用計画図、散骨場予定地の登記事項証明書、散骨場予定地の維持管理計画書を市長に提出する必要があります。現在、罰則規定はありませんが、やはりここも散骨は困難でしょう。

長野県諏訪市(対象:事業者)

諏訪市墓地等の経営の許可等に関する条例では、墓地、納骨堂又は散骨場にあたっては当該設置場所から周囲200メートル以内の土地に居住する者(借家、アパート等については、建物の所有者。以下同じ。)の同意が必要です。

埼玉県秩父市(対象:個人・事業者)

「秩父市環境保全条例」の改正により、 「散骨(焼骨の散布)」が規制されました。「秩父市環境保全条例」を一部改正し、平成20年12月18日から、「墓地以外の場所で、原則、散骨(焼骨を一定の場所にまくこと)をしてはならない。」ことになりました。

埼玉県本庄市(対象:事業者)

平成 22年 3月 31日条例第 1号として「本庄市散骨場の設置等の適正化に関する条例」が制定・施行されました。個人による散骨の条例は見当たりませんが、散骨場の設置等は厳しく規制されていますので、事業としての散骨は難しいのが現状です。

神奈川県湯河原町(対象:事業者)

平成26年7月31日条例第22号として「散骨場の経営の許可等に関する条例」が制定・施行されている。第5条には、散骨事業者は許可申請を行う前に、あらかじめ当該散骨事業の実施について、散骨場と境界を接する全ての土地所有者の同意を得なければなりません。事業としての散骨は事実上困難といえます。

静岡県御殿場市(対象:事業者)

平成 21 年 3 月 9 日条例第 19 号として「御殿場市散骨場の経営の許可等に関する条例」が制定されました。個人による散骨の条例は見当たりませんが、許可を受けずに散骨事業を行った者、又は現状回復命令に従わなかった者は6ケ月以下の懲役、又は50万円以下の罰金。報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は立ち入り検査を拒んだ者は10 万円以下の罰金の罰則があります。

静岡県熱海市(対象:事業者)

平成 27 年 7 月1日熱海市海洋散骨事業ガイドラインが策定されました。散骨事業者の責務として、熱海市内の土地(初島含む。)から10キロメートル以上離れた海域で行うことや、宣伝・広報する際に「熱海沖」、「初島沖」など「熱海」を連想する文言の使用を禁止するなど。

現時点では罰則規定などは設けていませんが、観光地のブランドイメージ、社会的な認知(ブランド)が毀損し、風評被害等が生じた場合には、損害賠償請求の可能性もあるとしています。ガイドラインに法的拘束力はありませんが、ガイドラインを遵守しない事業者が熱海周辺で散骨することは困難といえるでしょう。

静岡県伊東市(対象:事業者)

伊東市における海洋散骨に係る指針を、平成 28 年 2 月 1 日に発表しました。伊東市内の陸地から6海里(約11.11㎞)以内の海域では散骨しないことや、宣伝・広報に関し、「伊東沖」、「伊東市の地名」など、「伊東」を連想する文言を使用しないこととなっています。熱海市同様、いまのところ厳しい罰則規定はありませんが、事実上、事業者の散骨を禁止する内容となっています。

静岡県三島市(対象:事業者)

三島市散骨場の経営の許可等に関する条例案について、散骨場の経営等をしようとする者は、あらかじめ、市長の許可を受けなけ ればなりません。当該散骨場に隣接する 土地又はこれに準ずる土地として、規則で定めるものの所有者の同意が必要で、規定による命令に違反に対して、市長は中止命令の権限をもっており、違反事業者の公表も行えます。

 

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